手紙をしたためています

年末の本棚の整理で出てきた文庫本をお正月に読み返してみた。

終業式 (新潮文庫)

終業式 (新潮文庫)

登場人物の「手紙」(授業中にノートの切れ端に書いたメモとか、FAXとか、年賀状とか、結婚式の招待状とか、出せずに破り捨てた手紙とか)だけでストーリーが展開されて行きます。

姫野カオルコさんって私よりちょっと年齢が上だけど、同じ時代を生きて来た人だから、出てくるアイテムがいちいち懐かしい。「赤い疑惑」とか「ハマトラ」とか「なごり雪」とか。
高校時代、ノートの切れ端に手紙書いて友達に回してた。普通に折らずに変な折り方して。あの折り方今でもできるかな?

手紙で物語が綴られるといえば、宮本輝の「錦繍」も好きだけど、「終業式」はもっとリアリティがあって共感できる。高校時代の同級生4人を中心にした恋愛ドラマで、読んでると高校時代に戻りたくなる。この文庫本のあとがきに、姫野カオルコさんが、"「あのころ」がなんてステキだったか"と書かれてますが、本当にその通り!
「青春」って使い古された言葉かもしれないけど、やっぱり高校時代って「青春」だったと思う。

それから姫野カオルコ作品に出てくる、女女してなくて頭が良くて恋愛に慎重な女の子。最後に幸せつかんでくれてよかった。都築くんと両想いだったのにお互いの気持ち打ち明けないままそれぞれ違う人と幸せをつかむってところがせつない。一番好きな人とは結ばれない方がいいのかもしれない。

今は「手紙」じゃなくて「メール」なんだろうけど、「手紙」はやっぱり「メール」よりも重いと昭和な私は改めて思った。「メール」は簡単に書き直せるけど、「手紙」は鉛筆書きじゃなかったら、何回も書き直したりするもんね。切手貼って、ポストに入れないと届かないし。

捨てられない手紙が何通かあって秘密の箱にしまってある。あれはどういうタイミングで処分すればいいんだろう?私が死んでから、子供たちに見られたりしたら恥ずかしいもんなぁ。
読み返すと恥ずかしいからめったに見ないくせに、なかなか捨てられずにいる。