「ディア・ドクター」

見逃した映画を近所でやってたので見て来た。

「その嘘は、罪ですか。」
ユーモアとシリアスが交錯するヒューマンドラマ。

長い間無医村だった村にやってきた伊野(笑福亭鶴瓶)は、住民に神様・仏様よりも頼りになると絶大な信頼を受けている。その伊野がある日突然失踪。その捜査をすすめるうちに、浮かび上がった事実、伊野は実は無免許の"ニセモノ"だった。というストーリー。

人口の半分が老人という村で診察にあたる伊野を鶴瓶が好演。都会からやってきたおぼっちゃん育ちの研修医・相馬役の瑛太も適役。八千草薫井川遥余貴美子と女優さんたちの演技も素晴らしかったです。

映画館で見かけた「ディアドクター」について書かれた記事に、「ニセモノは本物よりもよっぽど努力する」って書いてあったけど、伊野はまさにそんな医師だった。
伊野が村を去るきっかけとなったのは、患者であるかづ子(八千草薫)の意思を尊重するためについた嘘だった。だまされていた人たちはみんなあんまり伊野のことを悪く言わない。
刑事さんも最後には伊野のやってきたことを認めるような発言をしたりもする。見てる私も、「あー、なんでバレちゃったんだろう。」って思ってた。
登場人物に悪い人はひとりもいなかった。
ラスト、かづ子が入院している病院に伊野がスタッフとして働いているシーンで、ちょっと救われた。
あとステキ!と思ったのは、伊野が往診に来る日に、鏡に向かってかづ子が口紅をつけるシーン。
伊野とかづ子のふたりのシーンは、"嘘"を抱えるもの同士のなんとも言い難い空気が流れていて、どれもよかったです。

やっぱり「嘘」は「罪」なんだろうか?
「ニセモノ」は「ホンモノ」に劣るのか?
「ニセモノ」の優しさが「ホンモノ」を超えることもあるんじゃないかな。