セイジ 陸の魚

観たい映画が毎週のように京都で公開されて忙しい。
本当は先週行きたかったんだけど、、、、仕事帰りに行きました。

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いまから20年前、大学最後の夏休みに自転車で一人旅をしていた“僕”は、いまはもう寂れてしまった国道沿いにある一軒のドライブイン「HOUSE475」で、不器用だが、ただ純粋に生きる男・セイジに出会った。「生きるって何だ」、「人生っていったい何だ」。そんなことを考えながらも気の置けない仲間たちと楽しく過ごしていたある日、町で凄惨な事件が起きる…。

伊勢谷監督作品、前作の「カクト」は斬新すぎて、私、理解できなかったんですが、8年の時を経て、原作と出会ってから完成まで5年かけたというだけあって、みごたえある作品に仕上がってました。(←上から目線ですみません)
カット割とか、構成とか、伊勢谷監督らしさがいろんなところに出てた。(″伊勢谷監督らしさ″ってなんだよって話ですが、私基準での″伊勢谷監督らしさ″「カクト」で感じたことです。)虫、空、木や草花がきれいだった。
原作読んでから観ました。「HOUSE47」の佇まいはイメージ通り。

あまり感情を外に出さないセイジが時々見せる笑顔にほっとした。いろいろなものを抱えてたどりついたセイジを西島秀俊さんが見事に演じきってました。目が良かった。悲しい目。やさしい目。怒りの目。
それからあの体脂肪ゼロの体、すごかったよ。板チョコみたいだった。

抱えているものが大きければ大きいほど、人は強くやさしくなれるのだろうか?生き物の命を奪って生きている人間。何かを代償にして生きている人間。本当に誰かを救いたいと思うなら、何かを失わなければいけないのかな?
セイジのようなことは、誰にできることではないけど、でも自分以外の人のために、自分の気持をちょっとだけひっこめたり、一歩下がったりすることは私にもできるかな。

セイジと僕が山の中どんどんすすんで行ってたどりついた場所。きれいだったなぁ。大自然の中では人は素直になれるのかもね。
フィルムを燃やしてしまったことを打ち明けた僕。自分の過去を語るセイジ。

ラストシーンで海辺に停まっていたセイジの車。
陸の魚は海へ帰って、普通に生きることができるようになったのかな。でも″普通に生きる″ってどういうことだよ。

それから、劇中つかわれていた″RAT″というバンドの曲がかっこよかったです。ライブシーンの裕木奈江さんの見事なタテノリが素晴らしかった。